家賃(賃料)の消滅時効について

回収出来ていない家賃(賃料)が溜まってしまった場合、消滅時効に気をつける必要があります。

月ごとに支払う家賃(賃料)の消滅時効期間は5年と定められています。

いつから数えて5年かというと、賃貸借契約書で定めた支払日の翌日からです。

たとえば、契約書に「毎月27日までに翌月分を支払う」と定めている場合、ある年の5月分の家賃は4月27日までに支払わなくてはなりませんから、5月分の家賃の消滅時効は4月28日から進行し、5年後の4月27日の経過により時効が完成します。

では、約定の支払い日から5年が経過した家賃は絶対に回収できないのでしょうか。

実は、そうではありません。
時効というものは期間の経過により自動的に効果が発生するものではありません。

当事者が「私は時効を援用(主張)します。」と言うことにより初めて効果が確定するのです。

そのため、回収しそびれた家賃の消滅時効期間が経過していると思われる場合でも、相手方が援用しないかもしれないので、諦めずに弁護士に相談してみてください。

時効が迫っている場合には、時効を中断する必要があります。

時効の中断とは、民法上認められた事由により、進行中の時効期間がいったんリセットされることをいいます。

時効中断事由は

①請求をすること

②差押え等をすること

③賃借人が債務の承認をすること

です。

①の請求は、単に内容証明郵便で家賃の支払いを請求するだけでは足りません。
訴訟提起や調停申立てをする必要があります。

では、時効が迫っていて訴訟提起が間に合わないという場合は、時効中断を諦めるしかないのでしょうか。

このような場合は、時効完成前に内容証明郵便で家賃の支払いを催告しておき、6ヶ月以内に訴訟等を提起すれば良いとされています。

時効が迫っている場合は、速やかに弁護士に相談し、まずは催告の内容証明郵便を送付してもらいましょう。

時効中断事由の3つ目、承認は、賃借人による債務の承認が必要です。

連帯保証人に家賃の支払いを求める内容証明郵便を送ったところ、連帯保証人が家賃の一部を支払ってくるということがありますが、この場合、連帯保証人が連帯保証契約に基づく債務の存在を認めたに過ぎず、賃借人が認めたわけではないので、賃借人の債務の時効中断事由とはなりません。

 

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